2018年11月に中小企業診断士として千葉県で開業しました。開業からまだ1ヵ月半ということもあって、それほど仕事を抱えているわけではないのですが、MBAを取得したときにお世話になった恩師からご紹介いただいて、あるボランタリーチェーンの若手経営者向けに、経営知識や財務知識、プレゼン知識などを教えるといったようなことなどをしています。
実際に彼ら若手経営者は、ボランタリーチェーンの会長さんに向けたプレゼンをすることになるので、そのプレゼンに向けたアドバイスに加え、パワーポイントやエクセルの使い方のほか、どのような数字を作っていくかといったことについて、相談に乗ったりしています。
大学卒業後、科研製薬株式会社に入社しまして、MR(医薬情報担当者)として営業の仕事をしていました。入社当初は名古屋支店に配属され、その後静岡営業所に異動となったのですが、会社に国際部ができたのをきっかけに、海外で駐在員として働きたいという思いを強くしました。苦労して英語のスキルを身につけ、東京での勤務を経たうえで国際部に異動することができ、アメリカのニューヨーク、そしてドイツのデュッセルドルフでの勤務を経験しました。
アメリカで仕事をしていた頃のこと、ベンチャー企業のライセンス担当者などと名刺交換をすると、ほとんどの方が「ph.D」の肩書きをお持ちで、そうでない方や、営業担当の方も「MBA」を取得していているのを見て、私も勉強しないといけないと強く思っていました。その後日本に帰国しまして、役職者として勤務していましたが、役職定年を迎えて時間が空いたこともあり、MBAにチャレンジして2年がかりで取得しました。
次にどうしようかと思っていたところで、お世話になっていた大学の教授から、中小企業診断士の受験を勧められたもので、58歳から資格取得のための勉強を始めました。丁度3年目に1次試験を突破したタイミングで、この金融人材・企業経営アドバイザー検定試験のことを知りました。内容的に診断士の1次試験に類似しているということ、また学習直後のちょうどいいタイミングだったということもあり、補習に繋がると思ったこと、さらに「事業性評価」を学べるという部分に興味を持って受験しました。
銀行が「正常先(金融機関が金融検査マニュアルに基づいて行う債務者の区分の一つ。業況が良好で、財務内容にも特段の問題がないと認められる融資先をいう)」や「要注意先(貸出条件や返済履行状況に問題があり、業況が低調または不安定で、今後の管理に注意を要する融資先をいう)」といった債務者区分を、どのように判断するのかといったことを知ることができたのは良かったです。クライアント企業の財務諸表を見て、経営者に対し、どのようなアドバイスするべきかといったことを学ぶことができました。これはまさに実務に活かせる内容で良かったと思います。
経営者が悩みを抱えるようなときに、金融機関がどのような事に注目して、企業を評価するのかといったことがわかりました。経営者が今後どう経営していくのかを説明していく時に、フレームワークを使ってどのように説明していくべきかといったことは役に立つと思います。
特に金融機関がどういう視点で見ているのか、たとえば正常先とか要注意先とか、色々な評価を受けている状況において、どのように見られているのかといった点をアドバイスできるようになったところは大きいですね。
この対話力向上講習で、経営者の悩みの本質を理解し、その会社が特許を持っているなど会社の良い部分を見出すことで、仮に赤字の企業であっても業績改善につなげていくことができることを伝えることもできるのだと学びました。
また逆も然りで、このまま無理をしてでも経営を続けていこうとする経営者に対して、会社をたたむという選択肢をお話ししてあげることだって大切なのだということもわかりました。これはすごく責任のある事ですので、自分自身の目利きの力を養っていかなければならないと感じています。
経営者だって人間ですから、経営上の良くない部分を言いたがらないものです。ですから、相手を不快に感じさせることなく、聞き出すことが重要なのだということを改めて感じました。
私自身としては、開業から間もないということもあり、まだこれからなので、早く一人前になって、顧客から信頼されるようになりたいと感じています。ゆくゆくは起業を目指している方に向けての経営支援をしたいですね。
それと、この金融人材・企業経営アドバイザーという資格に期待することとして、アドバイザーの判断が、銀行の融資担当者から信頼を得られるような資格になってくれたら、アドバイザーの活躍の場はより広がると思っています。